- 2007年7月27日 16:34
- PJ news
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【PJ 2007年07月27日】- 在日朝鮮人でつくる金剛山歌劇団(東京)は今年3月、公演を開催するために仙台市民会館の使用許可を仙台市に申請した。仙台市は使用をいったん許可したものの、6月になって許可を取り消した。この決定を不服とした歌劇団が今月2日、仙台地方裁判所に取り消し処分の停止を求める仮処分を申請していた。仙台地方裁判所は24日、仮処分を認める決定を下し、歌劇団の公演は予定通り9月3日に行われる見通しになった。
仙台市が使用許可を取り消した理由について、梅原克彦・仙台市長は「公演が実施された場合、会館の管理に支障を来すおそれがある」としてきたが、地裁が仮処分を認めたことについても「市民会館の管理などに支障を及ぼす恐れがあると考えており、裁判所の判断は極めて残念。決定の内容を精査し、対応を検討したい」とコメントを発表した。
同歌劇団の仙台公演は、昨年まで宮城県民会館(宮城県文化振興財団、仙台市青葉区)で開催されていた。2004年までは仙台市や宮城県が後援していたが、北朝鮮のミサイル発射や日本人拉致問題を受けて、翌年からは後援を取りやめている。2005年と2006年の公演は、宮城県民会館で開催されたが、2006年の公演では、開催の数ヶ月前から複数の政治団体の街宣車数十台が会場周辺に集結し、拡声器などで抗議活動を繰り広げた。
この騒ぎを受けて宮城県と宮城県文化振興財団は、2007年の宮城県民会館の使用許可を出さないことを決定した。この決定について村井嘉浩・宮城県知事は「妨害行為が予想されるため、歌劇団や県民の安全を考えた」と説明した。
公演場所を失った歌劇団は県民会館から200メートルほど離れた場所にある市民会館の使用を申請していた。いったんは使用が許可されたが、「公演を実施すれば会館利用者や周辺に混乱が生じる恐れがある」(仙台市)として許可を取り消した。仙台市は「あくまでも施設管理上の理由で、表現の自由を侵害する意図はない」と説明してきた。
だが、地裁のは「拉致問題や核開発疑惑で北朝鮮や在日朝鮮人に厳しい感情を持つ者による抗議・妨害活動を市長が予測したことに主観的根拠はある」としながらも、東京都で今年5、6月に開催された公演が混乱なく実施されたことなどから「具体的な混乱が生じる特別な事情は認められない」「正当な理由のない利用拒否は憲法が保障する表現・集会の自由の不当な制限につながる」と述べた。
この騒動で、腑(ふ)に落ちない点がある。市や県は政治団体による街宣活動をどう捉(とら)えているのかという点だ。北朝鮮による日本人拉致やミサイル実験、核開発問題は由々しき問題である。歌劇団は在日朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)の傘下にあるため、そのことを重視した団体が抗議活動を繰り広げることは、法に触れない限りは、許されるべきだろう。昨年の抗議活動でも逮捕者は出ていない。同時に、歌劇団の公演は、過去の講演内容を見る限りでは、朝鮮民謡や舞踊など北朝鮮の伝統芸術に限られた文化交流事業であり、市民会館、県民会館の設置目的からいっても、使用許可を取り消す理由は見つからない。
ある団体の公演に抗議する団体がいて、その抗議活動が住民に迷惑をかけるから講演をさせない、というのは本末転倒ではないのか。表現の自由、結社の自由が憲法で保障されているのだから、公演する自由も、抗議する自由も最大限認められるべきだ。宮城県では今年4月に「拡声機の使用による暴騒音の規制に関する条例」が強化されたばかりだ。抗議活動が心配なら、警備を強化し、音量が基準を超えた場合には摘発すればいいだけではないのだろうか。
表現の自由と公共の福祉は、常にせめぎ合っている。公共の福祉を過大に評価して表現の自由を不当に制限することも、もちろんその逆も、避けなければならない。今回の騒動でそんなことを考えさせられた。【了】
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